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上池袋に現れた喫茶売店「メリー」に取材してきたよ!
池ブルックリンでも何度か取材してきた「上池袋くすのき荘」。
前回の取材では、カフェをオープンするクラウドファンディングを募集(前回の記事はこちら)していたところ、無事クラウドファンディングが達成し、去る令和4年1月下旬に、喫茶売店「メリー」がオープンしたとのことで、早速取材してきました!
喫茶売店「メリー」
目に付くのはレトロな雰囲気の「メリー」の看板。昭和時代にタイムスリップしたようなレトロな雰囲気を醸し出す看板です。
出迎えてくれたのは、くすのき荘、喫茶売店「メリー」の仕掛け人の山本さん。ビールの提供が始まったとのことで、ビール片手にお出迎えです(笑)
僕は、昼からビールもちょっと躊躇うところでしたので、コーヒーの「メリーブレンド」を注文してみました。注文はPayPayなど電子マネーでも大丈夫です。ビールも提供と併せて、つまみ各種も注文できます!
レトロな雰囲気の中、インスタ映えするような新聞をバックにした席でほっこりコーヒーを飲みました。また、くすのき荘メンバーの実家のパティスリー ジュー ドゥ ミュゲ(静岡)が作っているという「タルトマロンカシス」と一緒にいただきました。美味しいのでぜひ注文してください。
また、駄菓子が少し置いています。懐かしさのあまり、駄菓子(フルーツの森:40円)を買って、山本さんがたまたまやっていた七輪で少し温めていただきました。
懐かしのヤンキー座りをアバンギャルドにできる空間がここにあります(笑)!
カフェのとなりスペースもあるよ!
喫茶売店「メリー」のとなりのスペースには、テーブルが置いてあるスペースがあります。ここでゆっくりコーヒーを飲みながらくつろぐのもいいかも!よく木賃メンバーによる七輪の会も開かれていたりします。
手前には、おもちゃや、貸出用のラケットや木馬のメリーちゃん、奥にはクラファンのリターンの看板が飾っています。子どもたちが入りやすいような空間になっています。
カフェをオープンさせた、くすのき荘の山本山田さんにお話を伺いしました!
ここで、お二人のインタビューをお届けします。(インタビューは、後ろで地元の年長者が、一人の男性にビール飲みながら恋愛相談をしてる中で行われました(笑)。
(まず、カフェを作った「ねらい」について教えてください。)
(山田さん)カフェを作ったねらいとしては、まずはコロナ禍で集まったり、くすのき荘でイベントをすることが少なくなったこともあり、ここにふらっとこれるような場所を作って、メンバーとまちとの接点を作りたかったということがあります。もう一つは、多様で多彩な人たちがこのまちにいることがわかってはいたのだけど、その人たちと気軽に繋がれる場所が欲しかったということにありますね。
まちに喫茶店など日常使いができる場所がどんどん減っていく中、それに代わる場所を作りたかったんです。
このカフェを作るにあたって、山田荘に編集室を構える影山裕樹さんや木賃メンバーとコンセプト作りをして、「令和のご近所付き合い」というコンセプトができて、それに基づいたカフェを作ってみようということになりました。
(クラウドファンディングにあったキャッチコピーの「公園のある売店のようなカフェ」とは?)
(山本さん)隣のくすのき公園と一体的に使ってもらう、公園にいる人たちが交わる場所として、気の抜けた感じをイメージしたかったことにあります。「人と人が交わって楽しく暮らせる場所」というイメージです。
(カフェがオープンして2ヶ月ですが、現状の様子はどうですか?)
(山本さん)地元の年長者たちが集まってくれるので嬉しいですね。全体としてまだまだ目指しているものに「完成して」はないけど、作りたかった「兆し」が徐々に見えてきていると思います。
(オープンしてから、印象に残った出来事とかありますか?)
(山本さん)メンバーの板垣さん(池ブルックリンのメンバーでもあります)のお子さん(2歳)の面倒を、酔っ払ったお姉さんが、あやしてくれた(笑)。酔っ払いと幼児がうまくマッチングした事例(笑)として面白かった。酔っ払いと子どものコラボができるとは思ってもみなかった!(泥酔はしてなかったらしいです)
(山田さん)よく行っているインド・ネパール料理屋のコックさんの娘さんが高校生で、カフェでバイトをするようになったことが印象深いですね。
(公園隣接という土地柄から、公園に来られる親子連れの人たちがよく来ますか?)
(山本さん)親と子どもが一緒に来ることは多いですね。小学生が夕方に公園で遊んで、駄菓子を買って、また公園で遊んでというように、いりびたっています(笑)。(貸出用のバトミントンを借りて)遊んだりしている。
(近所の人が来やすい雰囲気にするために、工夫していることありますか?)
(山本さん)我々は、「怪しい団体」とは未だに思われている(笑)。持っているものを褒めたりして来やすい雰囲気を作ってるかな。
カフェへの入りやすさとしては、入り口をオープンにして入りやすくして、中が見えるような作りにしている。中に人がいる様子が外から見えることで入りやすい雰囲気にしたいと思っています。
(駄菓子が置いてあるのが印象的なのですが、駄菓子を置いているのは、最初から考えていたことですか?)
(山田さん)「公園の売店」というコンセプトができてから、いろいろな公園の売店を見に行った。何が置いてあるかと見ていたところ、駄菓子とかおもちゃとか、子供たちが公園で遊ぶ時に楽しいものが置いてあったので、「子供が遊んで楽しいもの」を置きたいなということは最初からありました。
(山本さん) 駄菓子屋は、単純に子どもウェルカムの姿勢を示しています。カフェとして、500円とかを出さないと座れないということではなく、10円の駄菓子を買っても隣にいられるよという姿勢を示しています。ただでいいですよということではないけど、何かを注文してくださいとも書いてないので、入口を広くとっていることが重要と思っています。売店のいいところは、「買わなくてもいいこと」。カフェだと必ず注文しなければならないということがあるけど、売店にはそれがなく、気軽さといろいろな人が立ち寄れる良さがある。駄菓子には、まさに子供たち(その親や祖父母たち)にどうぞ来てくださいという表明をしているということです。
ただ、 駄菓子屋はそんなお人好しでやっているわけではないです。お人好しでもありながらですが(笑)。親もちゃんと注文してくれたりするのでそこはやっぱり面白い関係にありますね。
駄菓子屋って元々兼業のはずなんです。文房具屋さんと兼ねてるとか、クリーニングと駄菓子屋、おでん屋と駄菓子屋とか、町の商店が崩壊したことでそれがなくなり駄菓子屋がなくなった。ある意味、駄菓子屋は気概がないとできないと思ってます。子どもたちやまちへの眼差しがないとできない。
その後にコミュニティができればいいと思っているが、コミュニティを作るための駄菓子屋ではないんですよね。
(カフェができて、これからのくすのき荘はどのようにアップデートされていくのですか?)
(山本さん)いままで「メンバーだけ」という会員しか入れない場所だったが、これからは、いろいろな層の人たちが入れる場所になっていくというところですね。くすのき荘が掲げる「木賃文化」としては、より多くの人に僕たちを知ってもらう機会を日常的に作り出していくというところがアップデート!
(山田さん)この場所にこれだけ(くすのき荘の)メンバーがいるってことは、この場所に期待をしてくれている人たちがいるということ。お金を払ってくすのき荘を維持していくれるメンバーがいる一方で、そこまでではないけど、気軽にくすのき荘に立ち寄って、ここがいいなと思ってくすのき荘のファンになってくれる人たちが増えるといい、気軽に立ち寄れるカフェができて顔が見える関係ができると、私たちが考える木賃文化、令和のご近所付き合いが、じわじわと広がっていけばいいなという期待があります。
(カフェを作って関係する人たちが増えると、トラブルやめんどくさいことも増えると思いますが、その点はどのように考えていますか?)
(山田さん)「令和のご近所付き合い」だから、いいことも悪いこともひっくるめて楽しんでいきたい。カフェができていろいろな人が関係すると、「面倒くさい」人間関係も確実に増えると思う。ただ今の時代はそうしたことを嫌う傾向があるが、「面倒くささ」というひっかかりがないと、人付き合いや人との関係は築けない気がするので、それも要素の一つとして捉えていきたい。「ここではよしとする!」というところ。
(山本さん)木賃(くすのき荘)は個性を尊重する場所だから、個性がぶつかり合い色々起きるのは仕方ない。むしろそれが折り込まれてないことのほうが怖い!
いま、自分がすごく大事にしている言葉に「他人の時間を生きる」ということがある。今の時代、自分の時間で周りの人を動かそうとする人が多いように感じる。自分に協力してもらおうとする時も、自分の時間で周りの人を動かそうとする。けれど、まずはその人の時間で生きないと信頼関係は築けないと思う。僕もこないだ、ご近所に住む台湾人のおじさんの方のアプリ設定をひたすらずっとやってたし(笑)。
(無駄なこと、面倒なことって結構重要なことですよね。)
(一同)うんうん、(この後、無駄なこと、面倒なことがいかに大事かっていう話が続く・・・)
(ところで、カフェ店員をやる楽しさってありますか?)
(山本さん)天気でコーヒーの売れ行きが変わる。朝にどれぐらいの量にしようかとか考えるのも楽しい。ネパール人の方にカフェでのチャイメニューを教わることも楽しい。なんでも楽しい。
ここのカフェの店先に立ったら、まちのアイドルになれる場所みたいなことっていいかもしれない、レジの打ち方を常連さんが教えてくれるのもいい。メンバーが変わり替わりに立つ日があってもいい。必ずメンバーがカフェ店員になる必要はなく、仕事できないけどコミュ力高い人とか、社会復帰目当ての人とかが立ってもいい!(「メリー」カフェ店員募集中みたいです!)
(お話ありがとうございます!カフェ「メリー」の今後の展望を教えてください!)
(山田さん)色々ごちゃまぜになっていきたい。わんこもくれば、おじいちゃんおばあちゃんもアーティストも来るという状態になるといい。ちょっと変だけど何か楽しいという場所、日常に溶け込むカフェにしていきたい。「ここがあってよかったね」という場所になっていきたい。昔は街の中で全部足りてたことが、今は量販店に行かなければないということではなく、まちの中で足りる。そんな界隈が生まれていくまちを目指していきたいと思っています。
(山本さん山田さんお話ありがとうございました!!)
【喫茶売店「メリー」への行き方。】
東武東上線北池袋から徒歩7分。くすのき公園横の「くすのき荘」1階。喫茶売店「メリー」の看板が目印。
営業は、月木:13時から17時。金曜日:13時から20時。土日祝が、11時から20時。定休日は火水。
【取材を終えて】
お二人にお話を伺いながら、喫茶売店「メリー」のカフェを超えたコンセプト「令和のご近所付き合い」が浮かび上がってきました。
くすのき荘が掲げる「令和のご近所付き合い」、確かに近所付き合いって面倒だし、なんだかトラブルも起きそう。でもそうした関係を乗り越えてこそ真の信頼関係が築ける。これって昭和でも令和でも一緒だなと思いました。
現代に生きる僕らは効率さを求めすぎて非効率なもの、例えば面倒な人付き合いとか、そう言った「無駄」なものを排除しがちであるけれども、「無駄」なものの中に温かいものが紛れている場合、それを排除してしまうときっと人間の中の色々な大事なものがなくなって、殺伐とした世の中になってしまうんだろうなと思いました。
「令和のご近所付き合い」を目指す、くすのき荘と喫茶売店「メリー」には、そうした面倒だけども「温かい」人間関係がきっとこの先にも残っていく、そういう場所を目指しているんだなと取材を終えて思いました。
僕も今までは「効率さ」ばかりを追い求めていたけれども、これからは「非効率」なことにもあえて手を出していこうと思いました。
そうしたことに気づかさせてくれた、喫茶売店「メリー」に継続して通おうと思います。めんどくさいことが起きそうな気がするけれども(笑)
【この記事を書いた人】
めぐロッカー
上池袋在住の池ブルックリンメンバー。くすのき荘にもメンバーになってます!